小売全面自由化を前に東京電力が混乱をきたしている。2月と3月に合計93万台のスマ
ートメーターを設置する計画だったが、最新の見通しでは75万台しか設置できない。
工事会社と契約の未締結や作業員の離散が原因だという。小売電気事業者に対して契
約変更を遅らせるよう異例の依頼を出した。

東京電力が経済産業省から報告徴収を受けて、3月3日にスマートメーターの設置状況
を報告した。電力会社10社の中で報告を求められたのは東京電力だけで、4月1日の小
売全面自由化に向けて進捗状況の改善を迫られた格好だ。経済産業省は2月9日の時点
で「スマートメーターの取替工事に遅延が生じている電力会社はない」と公表してい
たが、その後に東京電力の遅れが明らかになった。

家庭などの利用者が電力会社から別の小売電気事業者に契約を変更する場合には、電
力の使用量を計測するメーターを新型のスマートメーターに交換する必要がある。
従来は検針員が月に1回の頻度でメーターの数字を確認して、前回との差分で使用量を
決めていた。スマートメーターは30分単位の使用量を計測して電力会社にデータを送
る仕組みで、そのデータを小売電気事業者が受け取って電気料金を計算する。

スマートメーター
従来の電力量計(左)、スマートメーター(右)。出典:東京電力

実はスマートメーターの設置が大幅に遅れた背景に、東京電力のずさんな工事管理が
あった。経済産業省に報告した内容を見ると、あきれるばかりだ。
第1に管内45カ所の支社のうち10支社で、工事を依頼した会社が協力会社とのあいだで
契約を結んでいなかった。そのために作業員の不足が発生した。第2に残り35カ所の支
社でも、工事会社の作業員が大量に離散する事態を招いていた。

45支社全体では、2015年12月末の時点で650人の作業員を確保したはずだった。しかし
契約の未締結で90人が減少したうえに、作業員の離散や他の工事との兼務などで2月末
までに251人が減少した。結局のところ341人の作業員が不足して、予定の半分も確保
できなかったことになる。

東京電力は緊急にバックアップの工事会社と新たに契約を締結するなどして作業員を
増やして、3月以降の設置工事を進める方針だ。それでも計画の遅れを完全に取り戻す
状態にはならない。

[引用元:スマートジャパン 東京電力が大失態、スマートメーターの設置に大幅~]

この事態はある程度予想していました。申し込みが殺到し、スマートメーターに切り替える必要が
あっても、作業員は本当に足りるのか?という話が工事業者の間で出回りつつあったからです。

工事業者は、1日20~30台のメーター交換をしていると言われています。1件30分以内として、
絶対出来ない訳ではありませんが、一人では少し厳しいと思われます。では2人で同じ件数の交換
をするとしたら、はたしてメーター交換作業を請負う業者がいるのかどうか疑問です。

単価が安いうえに、2人で動いて件数をこなさなければいけないとなると、仕事としての魅力は少
なくなり、電気工事会社レベルでは受けない可能性があります。それでなくても新築・改築や省エ
ネ工事などで作業員の取り合いになっている状況で、メーター交換に人材を割り当てられるのか。

需要家にとっては、せっかく電力が自由化になって電力小売事業者の変更を申し込んでも、料金が
安くなる恩恵を受けるのが少し先になって、損をしてしまう事も考えられます。
スタートからこういった障害が問題になってくると、少なからず盛り上がった電力自由化の流れを
妨げ、早々に関心が薄れ、多くの参入事業者の思惑から外れて収益が上がらない恐れがあります。

全国の需要家に設置してある電力メーターをスマートメーターへ交換する期間は、電力会社によっ
て異なりますが、2020年~2024年頃まで続き件数も膨大な大きい事業です。

その間、東京オリンピックによる新築・改築工事の増加や、省エネ機器への入替えなどが考えられ、
今後も多くの電気工事作業員を必要とします。そういった状況で、スマートメーターへの交換を行
う作業員の確保は、しばらく続く問題として取り上げられていきそうです。
電気工事業者以外でも交換作業が可能で停電も必要ないことから、起こりうる問題を想定しながら
専門業者(作業員)の確保や拡大を行う施策が必要になってきているのかもしれません。

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