エレベーターのメカニズムをもっと知っていただく為に、駆動方式についてご説明します。

エレベーターの「かご」を駆動(動かす)方式は、大きく分けて三つあります。
1.ロープ式
かつてエレベーターは蒸気機関や内燃機関などで直接駆動されていましたが、現在ではほ
とんどが電動モーターによって駆動されています。また駆動方式は「ロープ式」が主流で、
釣合おもりを使用した「トラクション式」と、巻胴(ドラム)にロープを巻き付ける「巻
胴式」に分けることができます。
・トラクション式[機械室ありタイプ]
トラクション式の機械室ありタイプは、「かご」と「釣合おもり」の重量をバランスさせ、
上部に取り付けた巻上機で効率よく駆動する、エレベーターのもっとも基本的なタイプです。
システム構成も簡単で、低層ビルから超高層ビルまであらゆるシーンで活躍しています。
・トラクション式[機械室なしタイプ]
ロープ式の機械室なしタイプは、機械室が不要になり、建築上部の突出物がないので北側斜
線制限・日影規制の影響がなく、また、建築上部に荷重がかからず昇降路を自由に設計でき
るタイプです。巻上機の設置場所は、巻上機を上部に設けるタイプと下部に設けるタイプが
あります。また調速機が作動して、エレベーター制御が行われた場合の復帰操作は必ず手動
で行われます。

エレベーター構造
[概念図]

2.油圧式
低層用エレベーターには電動ポンプで油圧を制御し、その圧力でかごを昇降させるものがあり
ます。この油圧式エレベーターの駆動方式は、「直接式」「間接式」「パンタグラフ式」に分
類することができます。
・直接式
油圧シリンダー内のプランジャーにエレベーターのかごを直結し昇降を行います。
・間接式
プランジャーの動きをロープを介し間接的にエレベーターのかごに伝え、昇降を行います。
また調速機が作動し、エレベーター制御が行われた場合の復帰は必ず手動で行われます。

エレベーター構造2
[概念図]

3.その他(リニアモーター式など)
・リニアモーター式
回転運動を直線運動に置換えるリニアモーターを利用したエレベーターで、一次側を釣合重り
に内蔵し、二次側を昇降路の全長に伸ばす事で、巻上機を設置する必要がなくなりました。

エレベーター構造3
[概念図]

[引用元:一般社団法人 日本エレベーター協会 昇降機百科]

どのエレベーターを採用するか、建物の高さや構造、用途によって決められます。

消費電力もそれぞれ異なるので、建物全体の電気契約に合わせて最適なものを選び、
後々のランニングコストを想定して設置する必要があります。

メンテナンスについては、それぞれの方式によってパーツの寿命が異なり、注意すべき
点が数多いので、しっかりとしたメンテナンスが必要です。

ロープ式では、メンテナンス不良による落下事故等が起こる可能性があります。
通常、ロープが切れてもかごが落下する構造ではないものの、ブレーキも故障した
場合は安全機構が働かず、大事故につながる恐れがあります。

複合した故障でなければ、重大事故になるケースはまれですが、毎月の点検や日々の
遠隔監視はしっかり行った方がより安心して利用できます。
また、パーツの消耗を早めに見つけられれば、結果的に修理費用を抑えられます。

油圧式では、オイルの管理に気を付ける必要があります。例えば、寒冷地ではオイルを
一定の温度に安定させる為に加熱と循環を行いますが、その際に騒音を発生させる事が
あるため、オイルの劣化には十分な注意が必要です。

実際、建物に響く騒音の原因を調べていたら、結局、地下にあるエレベーター室からの
音だったという例があり、特に寒冷地はオイル関連の管理が特に重要です。

それぞれのエレベーター構造に沿った、的確なメンテナンスを行う事で、本来の性能を
維持し、安心して利用できますので、信頼できる業者を選んで任せるのが賢明です。

点検料金だけでなく、今までの実績も考慮したメンテナンス会社選びをしましょう。

イラストでわかる建築電気・エレベータの技術