スキー場と温泉で知られる岩手県の八幡平市に新しい小水力発電所が誕生した。
市内を流れる農業用水路を利用した発電方法で、年間を通じて安定した電力を供給
できる点が特徴だ。発電量は一般家庭の83世帯分に相当する。民間の発電事業者が
農業用水路の運営主体と連携して実施した。

岩手県の北部の山岳地帯から宮城県の太平洋沿岸まで、東北で最も長い北上川が
250キロメートルにわたって緩やかに流れ続けている。流域のうち最も上流にあるの
が松川だ。この松川の水を利用した農業用水路で4月27日に小水力発電が始まった。

松川小水力発電
北上川の上流。出典:国土交通省

発電能力は37kW(キロワット)で、小水力発電の中でも規模は小さいほうだ。
それでも年間の発電量は30万kWh(キロワット時)を見込んでいて、一般家庭の使用
量(年間3600kWh)に換算して83世帯分に相当する電力を供給できる。洸陽電機は発
電した電力の全量を固定価格買取制度で売電する。

小水力発電を実施するにあたって農業用水路の落差工(らくさこう)を利用した。
落差工は用水路に段差を設けたもので、水路の勾配を安定させる役割がある。落差工
に沿って発電設備を設置すると、上流部分から水を取り込んで効率的に発電できる。
農業用水路で小水力発電を実施する場合の標準的な方法である。

[引用元 スマートジャパン 雪国の農業用水路から83世帯分の電力、設備利用率~]

発電設備には、北陸精機が富山県立大学と共同で開発した「パワーアルキメデス(高落差圧力
管タイプ)」を採用しており、5m以上の落差がある場合に使用出来るものです。

一般的に小水力発電は農業用水路など既存の設備を使用するため、「水利権」の問題が出てき
ます。水利権の問題をクリアし(地元の理解を得て)発電設備を建設するため、稼働まで時間
がかかるケースが多くなっていました。

今回の発電設備では、発電した後の水は再び農業用水路に戻すので、下流の水量に影響は生じ
ない「従属発電」を採用しており、今までは農業用水路を利用した小水力発電であっても自治
体から水利権の許可を取る必要がありましたが、2013年の河川法の改正によって従属発電の場
合には「登録」だけで済むようになりました。手続きが簡単になった事で、今、全国各地の農
業用水路に小水力発電設備を建設する動きが広がり始めています。

農業用水路そのものに大きく手を加える訳ではないことから、この「従属発電」が小水力発電
の普及のカギになってくることでしょう。
また、揚水ポンプなど農業用水路の関連施設の電力をまかなう電源としても有効に利用できる
ので、地元の理解を得られやすいと考えます。
電力の地産地消を実現する為には、地元の理解とメリットの還元が重要になってきます。

事例に学ぶ 小水力発電